「化石燃料発電」「原子力発電」「自然エネルギー発電」、その3

「原子力発電」は危険なばかりでなく、「核のゴミ」の始末が出来ないではないか、とよく言われます。私も全くその通りだと考えますが、私は「核のゴミ」は地中深く穴を掘って埋めるしかないと思っています。つまり原子力発電は未来の人類のとって「負の資産を残す」と言う事です。

しかし、化石燃料で出るゴミである「炭酸ガス」はどうでしょうか?「炭酸ガスは」は圧力を加えて地中へ押し込む、なんて研究があるようですが、地震が来たら岩盤の隙間から漏れ出さないのか心配です。つまり地中に押し込む事には危険が伴います。ではどうすれば良いのでしょうか? 今のところ有効な方法は有りません。時間をかけて、海水に解け込むのを待つか、植物が吸ってくれるのを待つかしかありません。「炭酸ガス」は「核のゴミ」以上に始末の悪いゴミ、「負の遺産」だと考えています。地球の大気中に拡散してしまった「ガス状のゴミ」を回収するのは不可能です。

近年の温暖化、「異常気象」は「化石燃料を使用した結果のゴミ」がもたらしている公算が大きいと言われています。様々な研究で、地球の温度上昇が「一定レベル」に達すると、それまでに蓄積されて来た熱による「相乗効果」が現れ、地球全体の温度上昇が加速され急激になる、との報告があります。近年の異常気象はまだ「序の口」であって、この相乗効果が顕著になり始めたら気温の急上昇は留まる事無く続き、それは生物の生存環境を破壊し、延いては「食料問題」に発展して行きます。特に「メタンガス」の大気中拡散が拡大し始めたら大変です。

だからこそ、「再生可能エネルギー」でなけばならないだ! と「知識人」は言いますが、でもそう簡単には実現できません。実現が困難なばかりでなく、問題もあります。風力発電設備は巨大であっても局所的ですので、廃棄はそれ程問題ありませんが、しかし太陽光発電所は膨大な面積を使ってこそ成り立つ設備です。パネルは「紫外線の影響」などで劣化します。結果、莫大な量の太陽光パネルが2、3十年で交換が必要となり、廃棄の時を迎えます。もうそろそろ耐用年数が過ぎたものが出始めました。ところが、太陽光パネルの廃棄処分は簡単ではないのです。まだ効率的な廃棄処理の方法は確立されていません。なので、太陽光パネルの「廃棄処分の問題」が環境問題になります。それに太陽光パネルの製造には沢山の電力を必要とします。交換に必要な大量のパネル製造には「大量の電力」がいるのです。すなわち、一見「理想的」だと思われている方式にも「すぐに表面には現れて来ない、重大な問題」を含んでいるのです。

もう文化的生活に慣れてしまった人類は、今更エネルギーの消費量を減らすことは出来ません。どうしても「発電」は必要不可欠な条件です。では、どうすればいいのでしょうか?

私は原子力発電「賛成論者」の一人ですが、「原子力エネルギー」は根本的に良くないと思っています。良くないけれども、どうしても必要です。「化石燃料発電」から「自然エネルギー発電」へと「エネルギー転換」が可能になるまでの間は、「つなぎとして、どうしても必要な発電方式」だと思っているのです。当分の間は「化石燃料発電」と「原子力発電」に頼らなければなりません。

将来の事は誰にも解りませんが、私なりの考えを記述します。現在、ラオスなどの河川が多い山間部を有する地域では盛んに「ダム建設」が進められています。政治的な背景はともかくとして、ダム建設は「水力発電」をするためです。ラオスではダムの決壊事故も起こりましたが、小規模の水力発電は可能な限り開発するのが望ましいと思います。しかし、「大河の本流」に「巨大ダム」を建設する事は、多くの検討を重ねた上でなければならない事は、前回記述しました。

水力発電は最初に行われた発電の方式ですが、「自然エネルギー発電」には違いありません。「新式の自然エネルギー発電」に関しての私の考えは、太陽光発電を、「森林地帯」や「農場」「牧場」のような土地や、「港湾」や「湖」などの「水面」では行わない方が良いと思っています。それらの地域では、「土地」は発電に使用するのでは無く、「食料生産」や「資材生産」をすべき場所だと考えます。「太陽光発電」や「太陽熱発電」は「砂漠」で、海洋では「洋上風力発電」、海峡で「潮汐力発電」を行うのが良いと思っています。「地熱発電」が有力だと言われますが、私は問題があると思っています。

電力エネルギーの「生産場所」と「消費場所」が離れている事になると、何百キロも何千キロも電力を送らなければなりません。何百キロかを高圧送電線を使って電力を送る事は妥当でしょうが、何千キロもの高圧送電には「送電ロス問題」が顕著になります。「お天気任せエネルギー」の不安定さをカバーするためにも、電気エネルギーを別形態のエネルギーに変換した方が良いと思います。現在は電気を「水素」に変える研究が最も有力です。水素を長距離送る為の「水素パイプライン」の研究も必要です。水素を液化して船で運搬する事は現在でも可能です。つまり、電気を水で分解して、順次「水素」に変えておき、水素をパイプラインか船で輸送します、その「水素」を消費地で「元の電気に戻す」とか「水素自動車」の燃料にします。問題は「エネルギー変換」は「常に変換ロス」が出る事です。ですので「変換効率」が非常に重要な問題となります。将来「自然エネルギー」を主力とするには、エネルギーの「高変換効率装置」開発と蓄電用「高性能バッテリー」の開発は、どうしても解決しなければならない課題です。

私が考える最良の発電方式は「潮汐力発電」です。潮汐とは潮流とは異なりまして、「月の引力」と「地球の自転」がもたらす「潮の満ち引き」でして、この力を利用して発電するのです。海峡などの海中に巨大な水車を設置するのです。 場所によっては干満の潮位差は数メートルもあります。「関門海峡」や「鳴門海峡」は瀬戸内海の海水が行き来するのだから相当のエネルギー量を持っています。このような地形は世界中に沢山あります。潮汐力は毎日定期的に発生しますから、連続発電は無理だとしても、かなり安定した電力が得られるはずです。 発電効率を高める為に、可能ならば「海峡」や「湾」の狭まばった海域に巨大な水門を設けます(海水を遮断する為にではなくて、流れを狭ばめ潮の流速を上げる為に設ける)。1日に2回の潮汐があるので、往復の流れを利用すれば、1日に4回発電のチャンスがあります。「潮汐発電」は私が描く一つの「妄想」に過ぎませんが、これも環境への影響の検討が必要です。大規模に潮の流れ道を変更する事が環境にどの様な影響をもたらすのか、予測しなければなりません。海峡を通過する潮汐の中に水車を入れて流れを邪魔するのだから、多少は「地球の自転が遅くなる」かも知れません。しかし、これは取るに足らない問題です。千年間に1000分の1秒位は「地球の自転」が遅くなるかも知れないですが。

次回へ続きます。