前回、次回はグルジア(ジョージア)に行くと予告しましたが、「大きな物」を忘れていました。それは、日本国の面積には少し及ばないもののほぼ同じ面積を誇る世界最大の湖??「カスピ海」です。だから今回もアゼルバイジャンに留まります。
ところで何十年も前から、カスピ海の周辺国(アゼルバイジャン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン、ロシア)ではこの広大な水面が、「海」なのか「湖」なのかで激しい議論を繰り広げています。カスピ海に接してない国である日本から見たら、そんな事は「言葉の違い」だけで「どっちだっていい!」と思いますが、そうは行かない「重要な問題」があるらしいです。それは経済上の争いなのです。国際法上「海」と「湖」では全く扱いが違うらしいです。もし「海」だとしたならば、「排他的経済水域の考え方」が分割の基本的条件となるらしいです。ところが「湖」だとしたならば「海洋法」が適用されないので、習慣的にカスピ海は沿岸国で均等に分割すべき、と言う事になるらしいのです。 この「言葉」の影響が最も強く及ぶ国は「イラン」です。イランにとって、「湖」とするのと「海」とするのでは、権利の及ぶ範囲が2倍くらい違うらしいのです。 だから、イランは「カスピ海」は「湖」である、と言い張っているらしいです。何しろカスピ海には、巨大な埋蔵量が予測されている海底油田が散らばっているのですから! 各国は国の利害を賭けて、「海だ!」とか、「湖だ!」とか、激しく議論をしているらしいです。未だにこの問題は解決をみないまま、睨みあいが続いているとのことです。
ところで、「カスピ海」の水は「塩水」です。塩分濃度は1%ちょっと位で、いわゆる「海洋」の塩分濃度の三分の一程度です。ただし「カスピ海の標高」は、マイナス約28m、つまり海面下ですので「死海」と同じように、「カスピ海の水」は外洋には流れ出る事が出来ません。ここに流れ込む河川は約130もありますが、北部のロシア側からの水量は南部イラン側からの水量よりも遥かに多いので、北部カスピ海の塩分濃度は、南部のそれよりもかなり低いそうです。個人的な想像ですが、カスピ海には「海流」が殆ど無いはずですから、水が余り混じり合わないので、その為、塩分濃度のばらつきが大きいのだと思います、(北部の水深は浅くて10m程度しかないのに、南部の水深は900m以上もあるので、南部では水深によっても塩分濃度はかなり違うかも知れません)。 何しろカスピ海、南北の長さは日本の本州の長さよりも少し短いけれど約1000Km近くもあるのですよ。
「世界の海」は場所によって太平洋とか大西洋とか名前は変りますが、海水は全部繋がっているので結局は一つだともいえます。そのように考えれば、海洋から切り離されているカスピ海は「地球上にある二つ目の海」と言う事になります。
バクーはカスピ海沿岸で最大の都市です。市街地は美しく整備されています。
夜のバクーも美しいです。
夜明けも美しいカスピ海。