今回のテーマは路地(枝道とも言います)にしようと思います。

人の住む所ならば、余程の未開発の地域でない限り、どこだって、地図で見れば道路は血管のように大動脈から毛細血管のように網目状に分布しています。大動脈は大通り、毛細血管は枝道であり路地です。私は街角が好きなのと同じように、路地も好きなのです。そこには「表向きの顔」ではない「日常生活の顔」があるからです。

「枝道」と言いましても枝の先の方ではなくて、路地と同じように、本通りからちょっとだけ脇に折れて入った部分でして、ほんの20mか30mも歩けば本通りに出られる、そんな場所の事を念頭にして書いています。

例え表の通りは華やいでいたとしても、路地にはまるで「楽屋裏のような人間臭さ」と「普段着の気楽さ」が漂っています。 私はそんな雰囲気を心地よく感じます。

しかしそこに住んでいる人の立場から見れば、「勝手に自分たちの縄張りに入り込んで来た≪よそ者≫、そいつが許可も無しに写真を撮っている!」 「無礼な奴だ! けしからん!」と、不愉快に思っているかも知れません。だから大急ぎでシャッターを切ります。ですので、なかなか面白い写真になりません。やはり、路地は「さりげなく」自分の目で見るだけで通り過ぎる、そのほうが無難かとも思います。 

でも、です。 それでもシャッターを切らなければならい! そうしないと、自分が現実にその場所に立っていたという証拠が残せないからです。 このことに非常に強いジレンマを感じます。